マイク・ノイズ
配信マイクの音質を改善するには?買い替える前の置き方と設定
声が遠い、音が割れる、部屋の音が目立つ。マイクを買い替える前に、向きと距離、入力音量、部屋の環境、OBSのフィルターを順番に見直す方法をまとめました。
マイクの音が気になるときは、まずいまの録音で何が困るのかを分けます。声が遠い、周囲がうるさい、声が割れる、語尾が消えるでは、確認する場所が違います。マイクの置き方や設定で変わることもあるので、買い替えは録音を比べてから判断できます。
この記事は、配信の話し声を整えるための確認手順です。USBかXLRか、ダイナミック型かコンデンサー型かという分類だけで、結果を決めつけない進め方を紹介します。
最初に、気になる音を言葉にする
OBSで短く録画し、いつものヘッドホンやイヤホンで聞きます。「音質が悪い」を、次のように分けてみてください。
- 声が遠い・部屋で響いて聞こえる
- マイクとの距離、正面の向き、部屋の反射を確認します。
- 声が小さい・大きな声で音割れする
- 距離と向きを整えたうえで、入力ゲインとOBSの音量を順に確認します。
- 声は聞こえるが、ファンや空調音が目立つ
- ノイズ源とマイクの位置を見直し、必要ならノイズ抑制を試します。
- 話し始めや語尾だけが消える
- ゲートやノイズ抑制など、途中の処理を一つずつ確認します。
録画と一緒に、口からの距離、ゲインの位置、有効なフィルターを残します。同じ一文で比較できるようにすると、変更が良かったか判断しやすくなります。
1. マイクの「正面」を確認する
マイクは、先端へ話すものと側面へ話すものがあります。見た目だけで判断せず、メーカーの説明書で音を入れる面と指向性を確認してください。背面へ話していた場合、音量を上げても狙った音にはなりません。
単一指向性のマイクでも、横や後ろの音が完全に消えるわけではありません。どの方向を拾いにくいかは機種の指向特性によります。ノイズ源に向ける面を決めるときも、機種の説明を基準にします。
椅子に座った普段の姿勢で、画面を見ながら自然に正面へ話せる位置を探します。マイクを避けて首を曲げる必要がある配置より、無理なく距離を保てる配置が比較しやすくなります。
2. 距離を変えたら、音量も揃えて聞く
いま遠くに置いているなら、マイクを少し口へ近づけ、同じ声量で録音します。次に、近づけたことで大きくなった声の音量を調整してから聞き比べます。単に音が大きくなったことと、声に対して部屋の音が減ったことを区別するためです。
近づけるほど良いわけでもありません。低音が強くなりすぎる、息の「ボッ」という音が入る、画面や手元を遮る場合は、距離と角度を少し戻します。息が直接当たるなら、ポップガードを使う、口の正面から少しずらすといった方法を試せます。
RØDEも、背景雑音やキーボード音を拾う場合の案内で、マイクの配置を確認するよう説明しています。具体的な距離は一律に固定せず、機種の説明と自分の録音で選んでください。
3. 入力音量を、マイク側から確認する
マイクやインターフェースの「Gain」は、入力する音の大きさを調整します。OBSのフェーダーは、OBSで扱う音の音量を変えます。入力時点で歪んだ音は、後からOBSで小さくしても歪みが残ります。
マイク・機材側で、すでに歪んでいる。
音は小さくなるが、歪んだ形は残る。
波形は仕組みを示す模式図です。入力側のゲインを見直して録り直します。
- 使っているノイズ抑制などの設定を控え、比較のために無効にします。
- いつもの距離から、普段の声と少し大きな声を出します。
- 機材のクリップ表示や録画の音割れを確認し、入力側のゲインを調整します。
- 入力が整ってから、OBSで配信に使う音量を決めます。
OBSのメーターが上限に張り付く場合も見直しが必要です。OBS公式の音声ミキサーの説明は、音量を調整するときに入力デバイス側から確認する流れを示しています。
ゲインを下げ、後段で同じだけ増幅しただけでは、声と背景ノイズの比率が良くなるとは限りません。声が小さすぎるときは、大きくするつまみだけでなく、口との距離や向きへ戻って確認します。
4. 部屋の音と、机から伝わる音を分ける
エアコンやPCファンの連続した音、キーボードを打つ音、机に触れた振動、部屋の反響を別々に聞きます。何も話さない部分と、実際に操作しながら話す部分の両方を録音してください。
- ファンや空調音:音源とマイクを離す、風が直接当たらない位置にする。
- 机の振動:マイクスタンドに伝わっていないか、触れる場所を変えて比べる。
- 部屋の反響:マイクを口へ近づけた録音と比べ、壁などからの反射が目立つ配置を見直す。
ノイズ抑制で部屋そのものが静かになるわけではありません。配信へ入る音を抑えることと、家の外へ漏れる音を防ぐことも別です。連続した環境音への具体的な対策はエアコン・PCファンの音の対策で扱っています。
5. 最後にOBSの処理を選ぶ
声が無理なく入り、音割れもない状態にしてから、必要な処理を加えます。最初からノイズ抑制、ゲート、コンプレッサーを全部追加するのではなく、残っている問題に合わせて一つずつ試します。
話していない間を静かにしたいならゲート、話し声に重なる一定の背景音を抑えたいならノイズ抑制が候補です。効果を強くした結果、声がこもったり途切れたりする場合は声が変わるときの確認方法へ進んでください。
買い替えを考えるなら、残った問題から選ぶ
配置と設定を見直しても困りごとが残るなら、「いまの機材で何が難しいか」が買い替えの基準になります。たとえば、近づけたいのに置けないなら先にスタンド、入力自体が安定しないなら接続や機材の点検、と候補が変わります。
購入前に音の作例を聞く場合も、声・部屋・距離・処理が自分の環境と違うことを考慮します。新しいマイクだけで一度に解決すると決めず、可能なら自分の環境で試せる方法を選ぶと判断しやすくなります。
参考資料
- RØDE公式:背景雑音やキーボードのクリック音を拾う理由 — 配置と背景音の確認。
- OBS公式:Audio Mixer Guide — 入力からの音量調整。
- OBS公式:Audio Mixer Technical Details — 音量メーターとクリッピング。
- OBS公式:Filters Guide — 音声フィルターの役割。